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あの夜だけが
私たちにとって最も幸福なひとときだった

私たちは決してわかりあえないということ
お互いがお互いに対して
絶対に不可能なのだということを
最終的に確認しあったあの夜だけが
私たちがほんとうに共有しあえた
たったひとつの夜だった


―『しなの川』上村一夫画/岡崎英生作

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「あなた、あたしの骨が好きなんでしょう。
 あたしの身体を焼いたら、透き通った桜の花びらみたいな骨が取れると思っているんでしょう」


 ―『ツィゴイネルワイゼン』

22


「あ、あぶねえっ、な、なにしやんでえ」
 御者が車からとびおりて、江戸っ子のべらんめえみたいな、歯ぎれのいいパリっ子言葉でどなりつけた。

 ―『緑の目の少女』モーリス・ルブラン/南洋一郎

21


「国境てなもんは地形や民族で決まるもんやない。そのときどきの喧嘩の強さで上にも下にもずれるんや」

 ―『国境』黒川博行

20


私は「芸術家」という言葉が嫌いだ。芸術家と称する連中に限ってよく「創造」という言葉を口にするものだが、あの言葉もおこがましい。以前ピカソが「私は芸術家ではない」という言い方をしていたけれど、私なら自分のことは「職人です」と言いたい。

 ―バルテュス

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ふたりの人間が今のままでいたいなどと思うのは、逆に何かの節目にさしかかった証拠なんじゃないだろうか。

 ―『倒錯の舞踏』ローレンス・ブロック 田口俊樹訳

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「大宮!」と私は叫んだ。「そんなところにいたのか」
「妓が日本語を知らないんだ。鍵をあけそうになったから、ここへ這い上がったんです。ここからは全部の部屋が見えますよ。中尉殿も、班長殿も、上の方を見なかった。人間てそういうものですかね」
 私は、そんなことはない、と思った。空を、雲を、夕映えを、私はずいぶん好きで、眺めたものであった。妓がけらけらと笑い出した。


 ―『兵隊やくざ 貴三郎一代』有馬頼義

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気なんぞ狂うほどのものは、簡単に、そのへんに露出してはいないのである。……深い暗い地層に沈んでいる。

 ―『家の中』中里恒子

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 人が人を殺すということは、人が人を苦しめるということと、それほど異質なことだろうか。
 はっきり、一個の屍体を自分の手でつくりあげることは、よっぽど派手な操作にちがいないが、それほど人目に立たないで、僕らは四六時中、小刻みに、他人をさいなんでいる。互いに傷つけあい、苦しめ合い、人知れず相手を死に追い込み、自分もまた、追い込まれている。それほどの関与なく、人生を生きつづけるという行程は、考えてみると実に困難である。生きるということ自身がそういう殺戮の連続なのだ。人間は、他のいきもの同様、残酷なものだ。生きることがすでに、むごいことだ。人と人とのかかわりあいは、血を流す作業だ。より深い傷を与えるものが「愛情」の罠だ。元来、人間は、己れの欲望のほかは、盲目な動物だ。


 ―『反骨 金子光晴エッセイ・コレクション』(「断片」) 大庭萱朗編

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いつだったか、十三間道路にしゃがんでしまわれて、車が来ても動こうとされない。
「あたし、ここで、ウンコしちゃうわ」
夜空を見上げながら、そうおっしゃる。
「さっき、茄子のグラタンをたくさん喰べたから、紫色のウンコ、しちゃお」

 ―『阿佐田哲也の怪しい交遊録』(「武田百合子さん」) 阿佐田哲也

 
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