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百八つの星

頭ひとつ、出ていた。

こんな一文で始まる北方水滸伝。
面白い面白いとは聞いてはいたが、いやほんと、滅法面白い。

百八人の男たちが、出会い、志を胸に抱き、その志を実現させるために身を捧げる戦いの歴史が、丹念に描かれていく。
水滸伝の形を借りた、革命の物語だ。

ひとり一人は決して完全ではなく、むしろどこか欠けている。
そこが人間臭く魅力的ですらある。
不完全なひとり一人が、二人になり、三人になり、「替天行道」の旗のもと、大きなうねりとなる。
道を示すものあり、武を競うものあり、経済で攻めるものあり、人を育てるものあり。
国を変える闘いであると同時に、ひとり一人の闘いでもある。

そいつらがまた、北方節で語るのだ。

「酒なら、これからも付き合おう。おまえの夜だけが長いわけではない」

「俺を殺せる男がこの国にいれば、俺は死ぬことになる。しかし、いないな」

「ここへ来て、迷うな。迷うのは、闇の中だけでよい。夜は明けたのだ」

こんな台詞が次々と。
読んでいるうちに、登場人物が、北方謙三の肉体と声をもって動き出す。
百八人の北方謙三。剣ではなくブランデーグラスを持っていそうだ。

今日、通勤中に玄武の章を読んでいたら、大きな、あまりに大きな星が堕ちた。
北方水滸伝の世界では、虎と素手で格闘してなお死ねないものもいれば、百八人揃う前に命を散らす者もあるらしい。

満員電車の中、涙を堪えた。
頁を繰る手が、いっそう早くなった。
これはもうやめられない。

水滸伝〈1〉 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44) (集英社文庫)水滸伝〈1〉 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44) (集英社文庫)
(2006/10/18)
北方 謙三

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なんにもないところから出てきてね
なんにもないところへ消えていくんだ


 ―『パーム』伸たまき

銀座は内幸町にも冷たいんだろうか

■第2回楽橋亭 鯉昇・喬太郎二人会

*内幸町ホール  18:30~

 瀧川鯉斗 「動物園」
 瀧川鯉昇 「千早振る」
 柳家喬太郎「心眼」
  ~仲入り~
 柳家喬太郎「いし」
 瀧川鯉昇 「御神酒徳利」


「千早振る」を解説するご隠居。
腕をこの高さまであげて、
ここで90度曲げて、
で、ここで一回転。
高さが重要。

ナイル川、インダス川、チグリス・ユーフラテス川ときて、黄河はちょっと違う。
とぼけた顔で人をくうのは、ご隠居なのか、鯉昇なのか。

銀座は京橋とは手を組むが新橋とは一緒にされたくない、銀座ナインの不明確な
存在等々、いつものまくらからまさかの「心眼」。
梅喜の心の奥底が、今まで聴いた中では一番伝わってきた。

新橋地下の天狗を探そうかと思ったが、寒さで早々に和民に逃げ込む。
ホッピーホッピーまたホッピーで、落語よもやま話。

一寸先はポカスカジャン

■寄席DAYパート35 鈴本特選会 市馬落語集

*鈴本演芸場  18:00~

 柳亭市朗 「道具屋」
 入船亭遊一「悋気の独楽」
 柳亭市馬 「野ざらし」
  ~仲入り~
 ポカスカジャン
 柳亭市馬 「二番煎じ」

ろくぶて

両手に荷物の帰り道。
どこですべり落ちたのやら、気付いたときには跡形もなし。
買ったばかりの手袋が
一目で気に入った手袋が
包みも開けていない手袋が。
母さん、僕のあの手袋、どうしたんでせうね。

失せもの探しの戻り道。
時計の針を逆戻し、自分の影をたどっていく。
道端、植え込み、横断歩道。
魚売り場に菓子コーナー。
手袋を知りませんか、駅員さん。
ええ、夜、銀座から方南町へゆくみちで
どこへ落としたかわからないあの手袋ですよ。

おいおい涙の帰り道。
悲しくて悔しくて、
ほっぺたをいち、にい、さん、し、ご、ろくぶっても
手袋は出てこない。
あの手袋の下で、きりぎりすが啼くにはもう遅い季節。
 
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