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絶景かな絶景かな

■寿新春大歌舞伎 昼の部

*歌舞伎座

 一、猩々
 二、一條大蔵譚
    檜垣
    奥殿
 三、けいせい浜真砂
 四、新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎
 五、お祭り


今月は浅草も新橋もあるし行かないつもりだったのに、サライの歌舞伎特集で御年88歳になる雀右衛門が、
「ああ女形ってこういうものかとわかってきたのはつい最近、80歳を過ぎてから。」
と語っているのを読み、急遽駆け付けてしまった歌舞伎座 寿新春大歌舞伎。

雀右衛門、久しぶりの本舞台は『けいせい浜真砂』女五右衛門 南禅寺山門の場。
澄んだ析の音とともに浅葱幕が落とされると、満開の桜にけぶる舞台に鮮やかな南禅寺山門。
瞬時に芝居の世界へ。
そこに陣取る女五右衛門 真砂路の雀右衛門、銀煙管を片手に辺りを睥睨し「絶景かな絶景かな」。

声が細い。動きも最小限。
幾重にもかさねる女形の衣装と鬘を身に付けて立つだけでも、米寿の身体には相当の負担だろう。
いかに麗しい化粧でも老いは隠せない。

それでも確かに、真砂路がそこにいる。
セリ上がった山門の上と下で、親の仇、真柴久吉と対峙する真砂路の姿の強さと美しさ。
大向こうの「京屋!」の声が降るように注がれる。
わずか10分ほどの短い舞台に、身震い。

その他、吉右衛門演じるつくり阿呆のお公家さん、一条大蔵卿が絶品。
この阿呆は癖になるぞよ。
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