スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

この世で一番恐いもの

五月大歌舞伎 夜の部

*新橋演舞場  16:30~


雨夜に通し狂言「東海道四谷怪談」。
伊右衛門に中村吉右衛門、お岩に中村福助。
赤穂義士の"忠臣蔵”を表舞台とするなら、こちらは“不忠臣蔵"とも言うべき裏の世界。
誰しも、義だの忠だの善だのだけで生きているわけではない。
人間の欲や業が入り乱れて綾を成し、複雑で魅惑的な物語が織り上がる。

伊右衛門という男、公金をちょろまかしたり、そんな男に娘はやれんという舅を殺したり、隣家の娘に惚れられて仕官を餌に飛びついたりと、目の前のことしか見えていない行き当たりばったりの小悪党。
ところが吉右衛門が演じると迫力満点で、まるでどこぞの大親分のような貫禄。
悪の権化と化した吉右衛門の魅力は楽しめたが、伊右衛門としてはどうなんだろう。小物感漂う優男が演じるのを一度見てみたい。

対するお岩。
崩れた面相で鏡に向かい、鉄漿を付け、髪を梳く見せ場は、その凄惨な姿はもちろんのこと女の執念が恐い。
変わり果てた己の顔をじっと見つめながら身だしなみを整えようとする女の思いが恐い恐い。
幽霊よりも生きている女の方が恐い恐い恐い。

その他、戸板返しや提灯抜けなどの様々な仕掛けやだんまりは、目の前に錦絵が広がるようでわくわく。
しかし特撮やCGに慣れてしまった現代の観客の目にはちゃちなものに映るのか、周囲から笑いが漏れていたのも事実。うらめしや。

文政八年(1825年)の初演時には、「仮名手本忠臣蔵」と「東海道四谷怪談」が二日間に渡り交互に演じられたらしい。
四世鶴屋南北、71歳のときの戯曲。
人の世をじっと見つめあぶり出し描き出す南北の目が、一番恐いのかも。

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。