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滑稽な夜

渋谷で映画を観るなんて本当に久しぶりだ。
前回見たのは「NICO ICON」だった。
あれから10年以上も経つなんて驚きだが、あの日、あの映画を観に行かなかったらその後の人生はどうなっていただろうという思いがよぎる。

館内は人もまばら。
こんな月のきれいな週末の夜にルー・リードの映画を見にくるなんて、おまえらも淋しい奴よと勝手に決め込み勝手に仲間意識を抱く。
そんな意識も映画が始まり、真っ暗な空間にルー・リードの破壊的なギターの音と呻くような歌声が響きだすとどこかへ吹っ飛び、ただ独りで音に浸っているような浮遊感に包まれる。

大体ルー・リードを聴くと気が滅入るんだ。
いや、気が滅入っているときにルー・リードを聴きたくなるのか。
日頃なんとか飼い馴らしている屈託や怒りや悲しみや欲望が剥き出しになって、自分を制御できなくなる。
だから、ルー・リードは大好きなのに気軽に聴けない自分にとっての禁止歌になっているこの苦しさ。
その禁止歌を大音量で聴く恍惚。

映画は33年前のアルバム「ベルリン」の全曲パフォーマンスを写したもの。
時を超えて物語が完成する。わたしをアラスカと呼んでくれ。
アンコールのCandy Says。
歌い終わったアントニーを見るルー・リードが微笑んでいる。
気が付いたら、ぼろぼろ泣いていた。滑稽だ。

そのまま家に帰るのがもったいなくて、夜の住宅街を歩いた。
自分の靴音が心地いい。
鳴らない携帯をどぶに捨てようとしたが、捨てるべきどぶさえなかった。
滑稽な夜だ。


ルー・リード『ベルリン』
シネクイントでレイトショー上映中
http://www.loureed-berlin.jp/

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