スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

百八つの星

頭ひとつ、出ていた。

こんな一文で始まる北方水滸伝。
面白い面白いとは聞いてはいたが、いやほんと、滅法面白い。

百八人の男たちが、出会い、志を胸に抱き、その志を実現させるために身を捧げる戦いの歴史が、丹念に描かれていく。
水滸伝の形を借りた、革命の物語だ。

ひとり一人は決して完全ではなく、むしろどこか欠けている。
そこが人間臭く魅力的ですらある。
不完全なひとり一人が、二人になり、三人になり、「替天行道」の旗のもと、大きなうねりとなる。
道を示すものあり、武を競うものあり、経済で攻めるものあり、人を育てるものあり。
国を変える闘いであると同時に、ひとり一人の闘いでもある。

そいつらがまた、北方節で語るのだ。

「酒なら、これからも付き合おう。おまえの夜だけが長いわけではない」

「俺を殺せる男がこの国にいれば、俺は死ぬことになる。しかし、いないな」

「ここへ来て、迷うな。迷うのは、闇の中だけでよい。夜は明けたのだ」

こんな台詞が次々と。
読んでいるうちに、登場人物が、北方謙三の肉体と声をもって動き出す。
百八人の北方謙三。剣ではなくブランデーグラスを持っていそうだ。

今日、通勤中に玄武の章を読んでいたら、大きな、あまりに大きな星が堕ちた。
北方水滸伝の世界では、虎と素手で格闘してなお死ねないものもいれば、百八人揃う前に命を散らす者もあるらしい。

満員電車の中、涙を堪えた。
頁を繰る手が、いっそう早くなった。
これはもうやめられない。

水滸伝〈1〉 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44) (集英社文庫)水滸伝〈1〉 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44) (集英社文庫)
(2006/10/18)
北方 謙三

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。