スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

舌の記憶

久しぶりの故郷は、雨上がりの緑が目に鮮やかだった。東京とは日射しの強さがちがう。

市の中心部からすこし離れたところにある実家周辺の変わりように、改めて驚く。
裏の空き地に家がたったとか、近所に新しい店ができたといったレベルのものではなく、街並みそのものが変貌している。
夏になると朝顔が咲き乱れていた未舗装の細い道が4車線道路になり、木苺をとった小学校の裏山がまるごとなくなって住宅地に姿を変え、大淀川に新しい橋が架かり、ああ気分は浦島太郎。
なんてことを言うとあんたがたまーにしか帰ってこんからやわーと小言をくらいそうだ。

重乃井の釜あげうどん、ぐんけいで地鶏のもも焼きや手羽、砂ずりの刺身、入船の鰻と呉汁、大海で鯛の刺身に伊勢海老の味噌汁、みやちくで宮崎牛と海鮮の鉄板焼き、おぐら瀬頭店でチャンポン、母親の作る味噌汁と糠漬け、焼酎十数種類・・・。
宮崎の幸を腹一杯におさめ、帰りの空港へ向かう途中、山形屋に立ち寄った。

地下の食料品売場の片隅で、長年饅頭を作り続ける一台のマシン。
子供の頃、母親が買い物をしている間、機械がかたんかたんと饅頭を作る様子を飽きもせずに見ていた。
丸い金属の型に生地と餡がおとされ、ゆっくりと回転する鉄板の上で焼かれていく。
一周するとひっくり返され反対側、最後に○に岩の文字の焼き印がじゅっと押される。
その日は残念なことに、機械は動いていなかった。お客さんが少なくて休憩中だったのかもしれない。20個入り840円。

東京に着き、バスの中で早速ひとくち。まだほんわりとあたたかく、経木に包まれていた饅頭からはかすかに木の香り。
ホットケーキのようなやわらかい生地に上品な白餡が口にひろがると郷愁に誘われる。
戻ってきたばかりだというのに。
親不孝ものにはなつかしくも少々胸が痛む味がした。

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。