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又五郎さん逝く

中村又五郎さんが亡くなりました。94歳。
愛読書の一つである池波正太郎「剣客商売」の主人公、秋山小兵衛のモデルとして紹介されていたのが、又五郎さんを知ったきっかけでした。

又五郎さん自身が小兵衛を演じた古いテレビシリーズ「剣客商売」を観ましたら、わたしが思い描いていた小兵衛よりは幾分上品なものの、姿格好はまさに小兵衛。息子の大治郎役が加藤剛でこれはどんぴしゃ。二人が並んでいる場面など小兵衛、大治郎親子以外の何者でもなく、小説からそのまま抜け出てきたようでした。

一番印象に残っているのは、これも池波正太郎原作のテレビドラマ「藤枝梅安」シリーズ、小林桂樹版。
又五郎さんは表稼業は料亭の主人、裏の世界では仕掛けの元締め音羽の半衛門役。これはもうねえ、よかった。
普段はひょこひょこ歩く柔和な笑顔の好々爺。ところがふと見せる目の奥の鋭い光。裏稼業に身を置く男の凄み、殺気が、目の表情一つで表され、テレビの前で鳥肌が立ちました。

池波正太郎著『又五郎の春秋』では、著者が京都の古書店で又五郎さんを見かけた日のことから始まり、又五郎さん自身が語る生い立ちや国立劇場の研修生を教育する姿、一緒に仕事をするいく中で触れた又五郎さんの人となりが綴られます。
特に歌舞伎に関しては、伝統を受け継ぐべきところは受け継ぎ、形骸化したものは思い切って毀して新しくすべきなど、言葉も強く、それだけ思いも強いのでしょう。
又五郎さんの四谷怪談のお岩、観たかったなあ。

今夜は『又五郎の春秋』から又五郎さんを評した言葉をご紹介して、ご冥福を祈りたいと思います。


「又五郎さんのことを、器用貧乏だなんて、いう人がよくいらっしゃいますけど、私は、そうはおもわないんです、ええ。あの方は、どこまでも努力の方だと、私はおもうんですの、ええ。つまり、どんな役でも、それを大事にして演じるからには一所懸命に役づくりをなさって、しかも舞台の上では、それだけ努力をなすったことを露骨にあらわさない。ですから何をお演りになっても無難に、器用に演っているというように見えるんじゃないでようか、ええ」(山田五十鈴)


又五郎の春秋又五郎の春秋 (1977年)
(1977/06)
池波 正太郎



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