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バカと悲哀のTex-Mex

テキサスには、老人ホームで暮らすペニスにできた腫物をもてあますエルヴィスがいる。ディズニーランドに行きたくてたまらないティラノサウルス人形がいる。性格矯正プログラム中のゴジラがいる。女買いに行って女の親父をポン引きと間違えアッパーカットくらって逃げ出した後煙草を吸おうと付けたマッチの火が張り切ってセットした髪に燃えうつり火だるまになって道路に飛び出したらトラックにはねられ川に落ちたところへワニがやってきてパクリと大きな口にくわえこまれたまま死に、自分ちの前にワニと共に放置されたティーンエイジャーがいる。おまけに「彼にはもう必要ないしね」と、最高にクールなワニ革の靴まで盗られてしまった。

さもありなん。さもありなんなのだ。変な話だとか、非日常の世界だとか、「そんな奴おれへんやろ~」(by大木こだま)という気が全くしないのだ。なんだろうこの自然さは。この説得力は。このバカバカしさと悲哀の絶妙なバランスは。
子供の頃に母の膝の上で聞くおはなしはこういうものだった。余計な疑問をはさまず、話を丸ごとごっくん飲み込むあの感覚。愉快なことこの上なくてすっかり夢中になって読んでいたら、一駅先まで行ってしまった。

たたみかけるような短編集の最後を締めくくるのは、作者が語る母の思い出「オリータ、思い出のかけら」。ジョー・R・ランズデールもまた、母が奏でるおはなしを楽しむ子供だった。
全ては母の膝の上から。そしてテキサスから。


現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫)現代短篇の名手たち4 ババ・ホ・テップ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2009/09/30)
ジョー・R・ランズデール



父と息子の関係が胸に迫る長編『ボトムズ』もおすすめ。

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